国家や教会からの弾圧にもかかわらず多くの支持者をひきつけた「トルストイ主義」

// 1870年代、トルストイは『アンナ・カレーニナ』の雑誌連載および単行本出版により、大きな成功をおさめた。 その一方で、彼は自分の貴族出身の家柄や作家としての成功によって得た富や名声を快く感じなくなり、悩み始めていた。 トルストイは心理的・精神…

ピーター・ラビットだけではない ビアトリクス・ポターの知られざる一面

// ビアトリクス・ポターは、「ピーター・ラビット」や「フロプシー・モプシー・カトンテール」などのキャラクターを生み出し、数多くの絵本を書いた作者として知られている。 しかしポターの活躍は、こうした絵本の世界だけではなかった。 ポターは1866年に…

アレクサンドル・デュマ 名声の頂点を象徴した「モンテ・クリスト城」

// 「モンテ・クリスト城」は3階建てのネオルネッサンス様式の建物である。 アレクサンドル・デュマはこの建物を「地上の楽園」と呼んでいた。 1844年、『三銃士』を発表したデュマはその名声の頂点にいた。 そんな彼は、パリから西へ20キロのところにあるサ…

シャーロット・ブロンテをもっとよく知るための10の知識

// 1. 5歳の時に母親を亡くす ブロンテ姉妹の母親マリア・ブランウェル・ブロンテは1821年、卵巣腫瘍(または産後の感染症の説もある)で亡くなった。38歳の若さだった。後には夫のパトリック・ブロンテと6人の子供たちが残された。 マリアの死から数年後、…

ヘミングウェイが作家を目指す人に推薦した16冊の本

// 20世紀のアメリカを代表する作家のひとりであるアーネスト・ヘミングウェイが、自分をしたっている若い作家に対し文章を書く方法についてアドバイスしたことがった。 その時「これらの本を読まなくては勉強が終わったとは言えない」といって16冊のの本を…

トーマス・マンが1930年代にわずか3回の夏を過ごした別荘の話

// 1929年の夏、トーマス・マンはバルト海に面するクルシュー砂州の田舎風景に心を奪われた。 そしてこの地にある漁村「ニダ」に、マンは別荘を建設することになる。 しかしマンとその家族がこの別荘で過ごした夏は3回だけであった。 ナチによる迫害のために…

オスカー・ワイルド 獄中の読書リスト

// 1895年、オスカー・ワイルドは “男色” を理由に2年間の重労働の刑を言い渡された。 最初はニューゲート、次にペントンヴィル、そしてワンズワースの刑務所と、収監される刑務所は変わってゆき、最後はレディングの刑務所にたどり着く。 当初ワイルドは本…

カミュと女優マリア・カザレスの往復書簡集

// 2017年11月、『Correspondence (1944-1959)』が出版された。 作家アルベール・カミュと女優マリア・カザレスとの往復書簡集である。 カミュは1944年からカザレスと愛人関係にあり、二人がやり取りしていた多くの手紙が残されていた。 手紙は1959年が最後…

イギリス・ロマン派詩人バイロンの自由でかなり放埓な人生

// バイロンの本名はジョージ・ゴードン・ノエルという。 1788年1月22日、ロンドンに生まれた。 父親は彼が3歳の時に死去している。 1798年、従祖父が亡くなると「第六代バイロン男爵」としてその遺産を相続することになった。 バイロンは少年時代はスコット…

スタンダール『赤と黒』のモデルとなった実在の人物と事件とは?

// スタンダールの『赤と黒』は、実在する人物とその人物の引き起こした事件をもとに書かれた小説である。 実在する人物とは「アントワーヌ・ベルテ」という男で、彼が『赤と黒』のジュリアン・ソレルのモデルとなった。 ベルテはフランスのグルノーブルで学…

グーグル・ドゥードルに登場したヴァージニア・ウルフってどんな人?

// 1月25日にグーグル・ドゥードルで登場したヴァージニア・ウルフは、現在ではイギリスで最も優れた小説家の一人と目されている。 そしてその影響は今日の文化・芸術の世界にも広く及んでいると言えるだろう。 生涯 ヴァージニア・ウルフは1882年1月25日、…

ノーム・チョムスキーが2010年に予想し、恐れていた "トランプ大統領の誕生"

// 2010年4月、ノーム・チョムスキーはアメリカの将来について暗い見通しを示していた。 しかし当時はその発言は大きく注目されることはなかった。 アメリカでドナルド・トランプが大統領となった現在、チョムスキーのあの発言は残念ながら正しかったという…

パスカルが『パンセ』に記した「相手を説得する方法」

// ブレーズ・パスカルは、言わずと知れた17世紀のフランスの哲学者・数学者である。 彼の書き残した文章の断片を集めた『パンセ』には、今を生きる私たちにとって役に立つあるコツが示されている。 それは「相手の考えをあらためさせる方法」。 パスカルは…

『パディントン』原作者マイケル・ボンド 亡くなる半年前のインタビュー「いつも朝9時には机に向かっているよ」

// 以下は2016年12月24日、イギリスの新聞「The Guardian」のウェブサイトに掲載されたマイケル・ボンドのインタビューである。 www.theguardian.com 『パディントン』の原作者であるボンド氏は2017年6月27日に91歳で亡くなっているが、半年前のこの記事でも…

ドストエフスキーってこんな人 あらためて学ぶ10の予備知識

// 25歳で最初の本を出版した ドストエフスキーの人生は恵まれたスタートを切ったといえる。裕福な家庭に生まれ育ったため、若いうちにしっかりとした教育を受けてきた。しかし作家になるための勉強を積み重ねていたわけではなかった。陸軍工兵学校に入学し…

アルベール・カミュ『異邦人』 あらすじ

// 母の死の知らせを受けたムルソーは養老院に向かい、葬儀に出席する。しかし彼は親が死んだことに対する悲しみをまったく表さない。母親の遺体を見たいかと問われても断り、さらには棺桶の前でタバコを吸いコーヒーを飲み始める。自分の感情を表に出すこと…

アルベール・カミュ『異邦人』についての豆知識

// 『異邦人』はフランスの作家アルベール・カミュによる1942年の小説である。カミュの思想である「不条理」と「実存主義」をテーマとした小説であるとみなされている(カミュ本人は自身の哲学が「実存主義」と呼ばれることには反発している)。 小説の主人…

1955年7月の新聞が報じる「ラッセル=アインシュタイン宣言」

// 以下は、イギリスの新聞「The Guardian」が1955年7月11日に報じた「The Russell-Einstein peace manifesto」のアーカイヴ記事である。 www.theguardian.com アルベルト・アインシュタインは亡くなる数日前、バートランド・ラッセル卿とともにある宣言に署…

詩人シルヴィア・プラス 手紙から見えるその波乱の人生

// アメリカの詩人シルヴィア・プラスは30歳の若さで死去した。 その短い生涯の中で、200編を超える詩のほかにラジオ劇、子供向けの本、短編、日記や回想録、小説、などを残している。 くわえて、彼女は長期間にわたる日記、家族や友人らに宛てた大量の手紙…

『星の王子さま』の背景を読み解いて作者サン=テグジュペリについて知ろう

// 1. 砂漠「君は空から落ちてきたのかい?」 これは星の王子さまがパイロットに向かって投げかける質問のひとつ。 じつはこの「空から落ちる」というのは、サン=テグジュペリ本人が経験していたことだった。 23歳の時、彼は初めて墜落事故を起こし、頭蓋骨…

ディケンズの作品に影響を与えた3人の女性たち

// チャールズ・ディケンズがまぎれもない天才作家であることは誰もが認めるところである。 しかし同時に、彼はつねに傷ついた心を癒し続けながら、報われない愛を求め続けた人物でもあった。 元をたどると彼の父親ジョン・ディケンズからそれは始まっていた…

詩人ジョン・キーツの生涯について知りたい

// キーツは25歳という若さで亡くなった。 それにもかかわらず、彼はイギリスの最も偉大な詩人のひとりであり、ロマン主義の重要人物とみなされている。 若く、美しく、運命に翻弄された詩人の典型的な存在としてイギリス文学にその名を残しているのである。…

トルストイの妻ソフィア 『戦争と平和』完成への貢献と幸福ではない結婚生活

// 1862年、34歳のトルストイは18歳のソフィアと結婚した。ソフィアは医師の娘で、二人は知り合って数週間で結婚している。 同じ年、トルストイは後に『戦争と平和』として完成されることになる作品を書き始めた。 1865年に最初の草稿が完成。ほぼ同時に、ト…

シャルル・ボードレール 没後150年 『悪の華』の詩人のスキャンダラスな人生

// もしシャルル・ボードレールがもしこの現代に生きていたら、彼はロックスターになっていただろう。 ジャニス・ジョプリンやジミ・ヘンドリックスなどと同じく苦しみの人生を送った天才であるボードレールは、彼の持つ創造の熱意によって身を滅ぼしてしま…

シェイクスピアはゲイだったという有力な説

// 文豪ウィリアム・シェイクスピアはゲイだったのではないか、とロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのアート・ディレクターが語った。 シェイクスピアのセクシュアリティについては長い間議論が続いてきた。 今回ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(…

イギリスの詩人・版画家 ウィリアム・ブレイクについて知りたい

// ウィリアム・ブレイクは同時代の文学・美術家たちからは正気ではない人だと思われ、ほとんど見捨てられていた。 しかし空想的・幻想的な詩人であり版画家であるブレイクは、現在はイギリス文学・美術に最も貢献した人物の一人とみなされている。 ブレイク…

グーグル・ドゥードルに登場したヴィクトル・ユーゴーってどんな人?

// 6月30日のグーグル・ドゥードルに登場したヴィクトル・ユーゴーは『レ・ミゼラブル』や『ノートルダム・ド・パリ』の作者として知られているフランスの作家である。 ロマン主義の詩人であり、また劇作家でもあった。 フランス国外では、ユーゴ―は小説の作…

心の健康のためにはやはり読書が一番

// 以下は Germaine Leece というセラピストがイギリスの新聞「The Guardian」に寄せたエッセイの要約。 読書がいかに心の健康に役立つかが述べられていて興味深い。 www.theguardian.com 文学が人を慰め、癒し、心を豊かにしてくれる、ということは、実は紀…

ゼルダ・フィッツジェラルドの波乱万丈な人生

// ゼルダ・フィッツジェラルド。 アメリカの作家スコット・フィッツジェラルドの夫人である。 彼女はいわゆる最初の「イット・ガール(It Girl)」であったと言われている。 テーブルの上で踊ったり、パーティー会場で服を脱ぎだしたり、友人の時計をふざけ…

サルトルとカミュ 決別した二人の実存主義哲学者の主張はどう違ったのか?

// ジャン=ポール・サルトルとアルベール・カミュ。 20世紀のフランス文学・哲学を代表するこの二人は、カミュの『反抗的人間』の発表を機に主張を対立させ、別々の道に進んで行くことになる。 では彼らの主張は、どのような違いがあったのだろうか。 Sam D…