オスカー・ワイルド 獄中の読書リスト

 

 

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1895年、オスカー・ワイルドは “男色” を理由に2年間の重労働の刑を言い渡された。

 

最初はニューゲート、次にペントンヴィル、そしてワンズワースの刑務所と、収監される刑務所は変わってゆき、最後はレディングの刑務所にたどり着く。

 

当初ワイルドは本を自由に手にすることを許されなかった。

 

しかし特別に許可を得た彼は、最終的には小さなコレクションを持つまでになった。

 

以下はそのコレクションに含まれていたワイルドの蔵書である。

 

マシュー・アーノルド選集

神の国(聖アウグスティヌス

告白(聖アウグスティヌス

ボードレール選集

天路歴程(ジョン・バニヤン

尼寺の長の話(ジェフリー・チョーサー

神曲(ダンテ・アリギエーリ)

新生(ダンテ・アリギエーリ)

ジョン・ドライデン選集

三つの物語(ギュスターヴ・フローベール

聖アントワーヌの誘惑(ギュスターヴ・フローベール

Illumination(ハロルド・フレデリック

The Passes of the Pyrenees(チャールズ・L・フリーストン)

ファウスト(ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

Brittany(ベアリング=グールド)

ハーフェズ選集

恋魂(トーマス・ハーディ)

長編詩(ジョン・キーツ

Epic and Romance: Essays on Medieval Literature(ウィリアム・ペイトン・カー)

The Courtship of Morrice Buckler: A Romance(AEW・メイソン)

喜劇論(ジョージ・メレディス

The History of the Jews(ヘンリー・ハート・ミルマン)

History of Latin Christianity(ヘンリー・ハート・ミルマン)

ローマ史(テオドール・モムゼン

Juvenile Offenders(ウィリアム・ダグラス・モリソン)

A History of Ancient Greek Literature(ギルバート・マレー)

Apologia Pro Vita Sua(ジョン・ヘンリー・ニューマン)

Two Essays on Miracles(ジョン・ヘンリー・ニューマン)

Idea of a University(ジョン・ヘンリー・ニューマン)

Essays on Grace(ジョン・ヘンリー・ニューマン)

プロヴァンシアル(ブレーズ・パスカル

パンセ(ブレーズ・パスカル

ルネサンス(ウォルター・ペイター)

ガストン・ド・ラトゥール(ウォルター・ペイター)

雑纂(ウォルター・ペイター)

Egyptian Decorative Art(フリンダーズ・ピートリー

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ書簡集・回顧録

クォ・ヴァディス(ヘンリク・シェンキェヴィチ)

The Student’s Chaucer(ウォルター・ウィリアム・スキート)

エドマンド・スペンサー選集

宝島(ロバート・ルイス・スティーヴンソン)

ストリンドベリ選集

The Study of Dante(ジョン・アディントン・シモンズ)

August Roeckel宛て書簡(リヒャルト・ワーグナー

ワーズワース選集

 

刑務所に収監された受刑者は、最初の3か月間は祈祷書、讃美歌、聖書しか読むことを許されなかった。

 

しかしワイルドについては、自由党国会議員だったリチャード・ハルデインからの特別な嘆願により、当局が当初の取り決めを軟化した。

 

のちにワイルドはこのお礼として、レディング刑務所の所長に『真面目が肝心』のサイン本を贈呈している。

 

ワイルドは自分の本を独房の中に置いておくことを許されたのみならず、読書のために夜になっても明かりをつけっぱなしにすることまで許された。

 

1895年にワイルドが初めてリクエストした本は、聖アウグスティヌスの『告白』、ボードレールやジョン・ヘンリー・ニューマンの本、そして彼の人生にとって重要な本となるウォルター・ペイターの『ルネサンス』であった。

 

ルネサンス』はいわゆる耽美主義の先駆をなした書物であり、ワイルドはこの本を愛読することによって芸術の世界へ駆り立てられたといわれている。

 

新しい本をリクエストする手紙にワイルドはこう記している:

 

「ここの図書館にはサッカレーディケンズの小説は含まれていません。彼らの全集があれば、私にとって素晴らしい恩恵をもたらすとともに、ほかの多くの受刑者たちにとっても素晴らしいものになるでしょう」。

 

後年、ワイルドは破産宣告を受け、彼が所有する蔵書はバラバラに競売にかけられた。

 

このうち約50冊は保存されているが、残りの約3,000冊に及ぶ蔵書の行方は分かっていない。

 

 

 

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