ウィリアム・ブレイク 没後191年にして初めて正式な墓石が設置される
ウィリアム・ブレイクは1827年8月12日、ロンドンで亡くなった。
彼の「墓」とされているものは、ロンドン市内のバンヒル・フィールド墓地に置かれている。
しかしそこには「この近くに眠る(Nearby lie)」と書かれている。
「ここに眠る(Here lie)」と書かれていないのは、一体どういう訳だろうか?
無名の詩人
ブレイクは今でこそイギリス最大の詩人のひとりとして世界中で知られている存在だが、生前はほとんど無名の人であった。
貧困の中で亡くなったブレイクには彼専用の墓地などは用意されなかった。
後から同じ場所にほかの人たちも埋葬されてきたため、最終的に7人がまとめて埋葬されているらしい。
その後、ブレイクの埋葬場所に墓石が設置されたことがあったが、新たに芝生を植えるために取り除かれた。
それ以来、ブレイクがどこに埋葬されたかはっきりと示すものは存在しないままであった。
没後100年に当たる1927年8月12日、ようやくその偉大さが認識されるようになったブレイクがこのバンヒル・フィールドに埋葬されていることを示すために、メモリアル・ストーンがおかれることになった。
以来、「詩人・画家ウィリアム・ブレイクとその妻キャサリン・ソフィア この近くに眠る」と書かれたものが、実際の埋葬場所とはまったく別のところの置かれ、それが彼の「墓石」とされてきたのである。
191年後の正式な墓石建立
しかし最近になって、ブレイクが1827年に実際に埋葬された場所が判明した。
現在「この近くに眠る」というメモリアル・ストーンの置かれているところから約20メートル離れた場所で、ロンドン市、ブレイク協会、そして著名なブレイク研究家たちによって正確な埋葬場所として確認された。
そこでブレイク協会が資金3万ポンドを集め、その場所に新たな墓石を設置することになった。
3月、ブレイク協会のツイッターには設置される墓石の下書きの画像が投稿されている。
そこには 「Here lies(ここに眠る) William Blake 1757-1827」の文字が見える。
The ledger stone to mark Blake's place of burial in Bunhill Fields is being cut at the Kindersley Cardozo Workshop in Cambridge. pic.twitter.com/3kEL3hxDuD
— The Blake Society (@Blake_Society) 2018年3月24日
そしてブレイクの命日にあたる8月12日、この新しい墓石の除幕式が行われることになっている。
没後191年、初めて正式な墓石の建立となる。
ちなみに夫人の埋葬場所はメモリアル・ストーンから70メートル離れたまったく別のところにあるため、新しいブレイクの墓石に夫人の名前は載らないが、二人の名前が載っている現在のメモリアル・ストーンはこのまま残される。