詩人ロバート・バーンズを祝う「バーンズ・ナイト」とは?

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「バーンズ・ナイト」(Burns Night)とはスコットランドの詩人ロバート・バーンズを祝う日のことである。

 

1796年にバーンズが亡くなった後、彼の友人数人が故人をしのんでディナーの集いを開くことになったのがその始まりだった。 このきわめてプライベートの集まりが徐々に広まり、イギリス全土で祝われるようになったものである。

 

始めは命日である7月21日に毎年集まるようになっていたが、数十年後、彼の誕生日である1月25日に変更された。

 

現代ではバーンズの詩を朗読し、詩が歌詞となっている歌を合唱するとともに、バグパイプが鳴り響き、スコティッシュ・ダンスを踊り、スコットランドの食べ物や飲み物を楽しむ夜となっている。

 

バーンズ・ナイトで供される食べ物を一般にバーンズ・ナイト・サパー(supper)という。 典型的な食べ物として「ハギス」(haggis)と呼ばれているものがある。 これは羊の内臓を羊の胃袋に入れて茹でたもので、スコットランド特有の食べ物らしい。

 

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またいわゆるキルトの服を着るのもこのバーンズ・ナイト恒例の衣装となっている。 「キルト」はバグパイプを演奏する人が着ているのをよく見かけるスカートのことだが、この衣装の選択には反対意見もあるという。

 

キルトはスコットランドの中でもハイランドの人が着ていた服とされているが、バーンズ自身はハイランドではなくローランドの出身であるため、おそらくキルトを着てはいなかったはずだというのがその反対意見の根拠である。

 

バーンズ・ナイトで提供される「バーンズ・サパー」は、まずバーンズの詩「The Selkirk Grace」の朗読から始まる。 この詩は感謝の祈りについて書かれたものである。

 

サパーそのものは肉汁のスープから始まり、メインコースは上記のハギスが出される。 ハギスには「neeps and tatties」というカブとポテトの料理が添えられる。 ハギスは銀のプレートに乗せられて、バグパイプとゆっくりとした手拍子に合わせてテーブルに出されるらしい。

 

会食の途中でも「忘れえぬ思い出へ」や「スコットランドのお嬢さんたちへ」など、いくつか恒例の乾杯が含まれる。

 

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最後は出席者全員が立ち上がり、手をつないで「蛍の光」(Auld Lang Syne)を歌ってその終わる。

 

ロバート・バーンズスコットランドの国民的詩人であるとみなされており、時には「ラビ―」とか「エアーシアの吟遊詩人」などという名前で呼ばれることもあるという。

 

彼の書いた作品の多くがスコットランドの現地語であるゲール語、またはスコットランド方言を用いた英語で書かれている。 その作品は彼の死後、社会主義者やリベラル知識人のあいだに広く影響を与えた。

 

日本で「蛍の光」として広く知られている「Auld Lang Syne」は、もともと存在していたスコットランド民謡の歌詞をバーンズが書き直したものであるが、今はそのバーンズの書いたヴァージョンが事実上この歌の正式な歌詞として定着している。

 

なお日本語の「蛍の光」の歌詞は稲垣千穎(いながき・ちかい)という人物が描いたものであるが、バーンズの詩の日本語訳ではない。

 

また「Scots Wha Hae」という歌は、古くからあった「Hey Tuttie Tatie」という歌にバーンズが愛国的な内容の歌詞をあらためて書いたものであり、長年スコットランドの非公式な国歌とされてきた。

 

 

 

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