ジョージ・オーウェル『1984年』あらすじ

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一般党員の一人であるウィンストン・スミスは「真理省」の記録部門で働き、「歴史の書き換え」という職務を担当している。

 

ウィンストンはビッグ・ブラザーに支配された社会に満足しておらず、少なくとも頭の中だけでも逃れようと、日記を書き始める。

 

日記の中でウィンストンは、テレスクリーンの視線から逃れられない毎日でも、独立した一人の人間としてまともに考え続けようと願う。

 

しかし、こうした行為は死刑に値する犯罪だった。

 

ある日、参加必須の「Two Minutes Hate」の最中、ウィンストンはオブライアンという上級党員の一人と知り合う。

 

ウィンストンはオブライアンを自分と同じスタンスの人だと信じていた。

 

同じく、別部門で働く黒髪の女性にも目を奪われていた。

 

数日後、この黒髪の女性はジュリアといい、ウィンストンに「I love you」と書いた紙を手渡してくる。

 

二人は何とかして落ち合う方法を見つけ、テレスクリーンの目の届かないところで逢瀬を重ねるようになる。

 

そんな二人は党とビッグ・ブラザーへの反乱を語り合い始める。

 

そしてウィンストンは二人だけで会うことのできる部屋を借り、そこで密会を続けてゆく。

 

一方で、いつかこの関係も見破られ捕まってしまうことも、二人は分かっていた。

 

二人はオブライアンがビッグ・ブラザーと党の転覆をもくろむ地下組織「ブラザーフッド」のメンバーであると思い、彼に会って自分たちの立場を打ち明けた。

 

そしてブラザーフッドに加入し、そのリーダーであるエマニュエル・ゴールドスタインの著作を読むことになる。

 

しかし、やはり二人のこうした行為は発見され、逮捕・連行されてゆくのである。

 

 

 

以下、ネタバレ注意

ジュリアと別々に監禁されたウィンストンは、窓のない部屋で身動きできない状態で放置される。

 

そこにオブライアンが現れた。

 

党はウィンストンの「犯罪」を昔から察知しており、過去7年間にわたってオブライアンはウィンストンに目をつけていたのだった。

 

オブライアンはウィンストンにリンチを加え、ウィンストンの考えを矯正しようと試みる。

 

この矯正は、相反する二つの考えを頭の中に抱き、その両方を正しいと信じる「二重思考」を強いるものだった。

 

続いてウィンストンは101号室に連れていかれ、怖がっているものを強要されるリンチが行われる。

 

ウィンストンは大型ネズミを大の苦手としており、オブライアンはネズミをウィンストンの顔に近づけていく。

 

ウィンストンはそこで「俺にやるな、ジュリアにやれ!」と叫び声をあげてしまう。

 

どんなことがあってもお互いを信じると誓い合ったジュリアを裏切ってしまったのである。

 

ウィンストンは事実上全く別の人格にされてしまった。

 

ジュリアとも会うことができたが、彼女も変わってしまい、お互いがお互いを裏切ってしまったことを知る。

 

後日、カフェでテレスクリーンを眺め、前線での戦闘状況を伝えるニュースを耳にしたウィンストンは、自分が心の底からビッグ・ブラザーを敬愛することができるようになったことを知る。

 

そしてカフェから出てきたところを、銃で撃たれるのだった。