ノーム・チョムスキーが2010年に予想し、恐れていた "トランプ大統領の誕生"
2010年4月、ノーム・チョムスキーはアメリカの将来について暗い見通しを示していた。
しかし当時はその発言は大きく注目されることはなかった。
アメリカでドナルド・トランプが大統領となった現在、チョムスキーのあの発言は残念ながら正しかったということが判明したのである。
哲学者であり、歴史家であり、また活動家でもあるチョムスキーは、もしも「カリスマ性のある人物」が現れ社会に潜む病を追い払うことを約束すれば、その人物は権力の座に就くことに成功するだろう、と警告を発していた。
またその人物が民衆に対して行うキャンペーンの特徴をいくつか挙げているが、それもトランプ大統領と似ているものが多い。
例えば軍隊を称賛することや違法滞在者を敵とみなすことなどがそのキャンペーンの特徴だとしている。
実際、トランプ大統領は軍隊やシークレットサービスを称賛し、違法滞在者を追い出してメキシコ国境に壁を建設するという公約を掲げているのである。
チョムスキーは当時こう語っていた:
アメリカ合衆国はカリスマ性のある人物が出てきていないという点で、とても幸運です。
カリスマ性のある人物とは、マッカーシーやニクソン、福音伝道者たちといった明らかな詐欺師たちのことです。
もしカリスマ性があり腹蔵なくものを語るような人物が現れたならば、フラストレーション、幻滅、正当化された怒り、そして一貫性のある対応の欠如が現れ、この国は本当の問題を抱えることになるでしょう。
もしその人物が「私は答えが分かっている。私たちには敵がいるんだ」と言ったら、人々はどう反応するでしょうか?
かつてそれはユダヤ人たちでした。
今、それが違法滞在者や黒人たちになろうとしているのです。
そして白人男性は迫害されているのだと教え込まれます。
私たちは自分たちを、そして我が国の名誉を守らなくてはいけない、と聴かされます。
軍隊は称賛されるでしょう。
人々は駆り立てられ、それは抑えることのできない力となってくるはずです。
もしそういうことが起こったとしたら、それはドイツの場合よりも危険なことになります。
アメリカは世界を動かす力を持っています。
当時のドイツも強力な国でしたが、それでももっと強い敵がいました。
このようなことは決して遠い話だとは思いません。
もし世論調査の数字が正しいとすれば、いわゆる共和党ではなく、右翼の共和党員たち、熱に侵された共和党員たちが次の選挙で勝つ可能性があるからです。
チョムスキーはまた「私は1930年代を覚えているほど長く生きてきたが、このような状況は私の人生で一度も見たことがない」とも語っている。
この国のムードには恐怖を感じます。
怒り、フラストレーション、社会習慣に組み込まれた憎悪、こういったものが建設的な形で治まっていないのです。
こうしたことは、自己破壊的なファンタジーへと突き進んでしまうことになるでしょう。