1955年7月の新聞が報じる「ラッセル=アインシュタイン宣言」

 

 

f:id:moribayashitaro:20171116234405j:plain

 

以下は、イギリスの新聞「The Guardian」が1955年7月11日に報じた「The Russell-Einstein peace manifesto」のアーカイヴ記事である。

 

www.theguardian.com

 

アルベルト・アインシュタインは亡くなる数日前、バートランド・ラッセル卿とともにある宣言に署名した。

 

科学とコモンセンスの名のもとに、人類存続に対して脅威をもたらす核兵器の時代での戦争を放棄することを謳ったものである。

 

7月9日、ラッセル卿はこの宣言を発表し、そこにはほかの6名の科学者も署名していた。

 

また同日、ラッセル卿はアンソニー・イーデン(イギリス)、ドワイト・アイゼンハワー(アメリカ)、ニコライ・ブルガーニン(ソ連)、周恩来(中国)、ルネ・コティ(フランス)、ルイ・サンローラン(カナダ)ら各国首脳へ手紙を送っている。

 

その手紙なのかでラッセル卿は、「この宣言で扱われている問題についてのあなたのご意見を公表していただくよう、切に願うものであります。この問題は人類が直面している最も重大なものなのです」と述べ、検討することを訴えている。

 

ラッセル=アインシュタイン宣言」においてラッセル卿とその仲間たちは、科学者たちの参加する会議を招集し、核兵器の使用がもたらす結果について、公平で政治的偏見を持たずに検証することを提案している。

 

およそ将来の世界戦争においてはかならず核兵器が使用されるであろうし、そしてそのような兵器が人類の存続をおびやかしているという事実からみて、私たちは世界の諸政府に、彼らの目的が世界戦争によっては促進されないことを自覚し、このことを公然とみとめるよう勧告する。したがってまた、私たちは彼らに、彼らのあいだのあらゆる紛争問題の解決のための平和的な手段をみいだすよう勧告する。

(日本パグウォッシュ会議HPより)

 

すでに宣言に署名した学者たちは、アルベルト・アインシュタインバートランド・ラッセル卿に加え、以下の6名。

 

さらにフランスのF・ジョリオ・キュリー教授ともう一人のノーベル賞受賞者が署名に同意しているが、留保しているという。

 

ラッセル卿によれば、虐げられている人たちが反乱を起こす権利まで放棄させることをジョリオ・キュリー教授は望んでいない、という。

 

教授の見方では、多くの不正は革命によってのみ正されるものであり、暴君政府に対して反乱を起こす権利は保たれるべきである、ということだ。

 

あくまでこれはラッセル卿によるジョリオ・キュリー教授の意見の解釈であると念を押している。

 

注:最終的にはラッセルとアインシュタインを含めて合計11名が署名しているが、このアーカイヴ記事にはマックス・ボルン教授(ノーベル物理学賞)とライナス・ポーリング教授(ノーベル化学賞)の名前は出てこない。

 

しかしながら、ジョリオ・キュリー教授を含めたすべての署名者たちが、現代の核兵器は人類の存続に対して重大な脅威をもたらしており、各国政府は戦争の廃止を正式に決定し、また実効性あるものとして行わなければいけない、ということに同意しているのである。

 

ラッセル卿は、この宣言は(東西陣営の)どちら側で核戦争が起こったとしても勝利を望むことなどできないし、放射能の雲から降り注ぐ塵と雨によって人類が滅亡する危険があるということを訴えたものだ、と説明した。

 

また、政府も市民たちも本当の危険を認識してはおらず、戦争が始まれば核兵器は間違いなく製造され使用されるであろうから、核兵器の禁止は役には立つであろうが解決にはならい、ということを指摘している。

 

「人類の唯一の希望は、戦争を起こさないということです。戦争回避を実現するための方法を考えていこう、ということがこの宣言の目的なのです」。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

2年後の1957年にカナダのパグウォッシュで科学者たちによる会議(パグウォッシュ会議)が開催された。

 

ラッセル=アインシュタイン宣言」の全文は、日本パグウォッシュ会議のホームページで読むことが出来る。

 

www.pugwashjapan.jp