バートランド・ラッセルが残した「愛は賢く、憎しみは愚か」というメッセージ
イギリスの哲学者・数学者バートランド・ラッセルが生まれたのは1872年、亡くなったのが50年前の1970年。
享年97歳という長寿だった。
もともと数学者として出発したラッセルは、それまで受け入れられてきた論理体系の矛盾を発見し、それは「ラッセルのパラドックス」として知られている。
さらにその明晰な論理を生かして哲学の分野でも大きな足跡を残した。
一方で政治・社会活動でも知られており、日本でもっとも有名なのはこの「ラッセル=アインシュタイン宣言」だろう。
広島・長崎の原爆投下から10年たった1955年。ラッセルはアルベルト・アインシュタインらとともに、核兵器廃絶を訴えるこのマニフェストを発表する。
二人を含めた合計11人の知識人たちがこの宣言を各国首脳らに手紙で送り、そのメッセージを届けた。
ラッセル卿は、この宣言は(東西陣営の)どちら側で核戦争が起こったとしても勝利を望むことなどできないし、放射能の雲から降り注ぐ塵と雨によって人類が滅亡する危険があるということを訴えたものだ、と説明した。
なお、日本からは湯川秀樹がこの宣言に署名した一人だった。
もう一つ、ラッセルの発言で覚えておきたいことがある。
この動画で、後世に言い伝えたいことは何かと問われたラッセルは、以下の二つを述べている。
何かを研究したり、何らかの哲学について思考をめぐらすときには、「何が事実なのか。その事実が生み出す真実とは何なのか」ということだけを自らに問いなさい。自分が信じたいことや、社会的実益があることのせいで、自分の考えが横道にそれることのないようにしなさい。
そして
愛は賢く、憎しみは愚かだ。他者との交わりが増えるこの世の中では、お互いに対して寛容の心を持たなくてはいけないし、中には自分の気に入らないことを言う人がいるということを学ばなくてはいけない。
1959年のインタビューのようだが、60年以上たった今でも、さらに21世紀をとおして、伝えられ続けなくてはいけない言葉だと思う。