アルベール・カミュ『異邦人』 あらすじ

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母の死の知らせを受けたムルソーは養老院に向かい、葬儀に出席する。しかし彼は親が死んだことに対する悲しみをまったく表さない。母親の遺体を見たいかと問われても断り、さらには棺桶の前でタバコを吸いコーヒーを飲み始める。自分の感情を表に出すことよりも、葬儀に参列した人たちを淡々と観察することに関心がある。

 

彼はかつての同僚であった女性マリイと再会する。二人はこの再会を機に仲良くなり、母の葬式の翌日に二人でいっしょに海水浴に行き、コメディ映画を観て、体の関係を結ぶ。

 

ムルソーは親しい隣人のレイモンから「自分の彼女が浮気をしているようなので仕返しをしたい」と言われ、その手伝いをすることになる。 ムルソーはレイモンの代わりに手紙を書く。その手紙はレイモンの彼女を部屋におびき寄せるためのもの。彼女がレイモンといっしょにベッドに入るその直前に彼女の顔に唾を吐きつけてやる、という復讐を企てたもので、その手紙を信じた彼女は実際にレイモンの部屋に現れた。

 

しかしレイモンが彼女を部屋から追い出そうとすると、彼女はレイモンに平手打ちを食らわせ、状況はエスカレートしてしまう。 この騒動のためにレイモンは逮捕・起訴され、証人として出廷したムルソーは「彼女は浮気をしていた」と頼まれたとおりの証言をする。結局レイモンは警告を受けるだけで釈放された。

 

しかしこの後、ムーア人である彼女の兄弟やほかのアラブ人たちがレイモンに付きまとい始める。

 

週末、レイモンはムルソーとマリイを友人のビーチハウスに招待する。しかしそのビーチにはレイモンに付きまとっているアラブ人の二人がいた。レイモンとムルソーが彼らと対面したときにもみ合いになり、レイモンはナイフでケガを負う。ビーチハウスに戻った後、ムルソーはレイモンが突発的な行動を起こさないように、レイモンの所持する拳銃を受け取り自分で持っていた。

 

ムルソーはその後、ひとりで同じビーチを歩いて行くと、例のアラブ人の一人とふたたび顔を合わせる。海岸の灼熱の中、判断の鈍ったムルソーはナイフをちらつかせたそのアラブ人を拳銃で撃ち殺してしまう。

 

ムルソーは勾留され、警察や検察から尋問を受ける。自分の過去や周りの状況に無関心な性格の彼にとっては、刑務所での生活を次第に耐えられるようになり、勾留生活が苦でなくなっていく。

 

法廷では、このムルソーの無関心ぶりこそが罪の表れであり、反省していない証拠であると検事から責められる。さらに検事は、ムルソーが母親の葬儀で涙を見せなかったことをも指摘し、陪審員たちに訴えかけ、死刑を求刑する。

 

判決はムルソーの有罪で、ギロチンによる公開処刑が決まった。

 

死刑執行前、ムルソーは牧師の訪問を受けるが、神への改心は拒否する。それでもムルソーの心を神に向けさせようと説き続ける牧師に対し、ムルソーは激怒し、自分の考えを牧師にまくしたてるのであった。

 

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